Future Technologies (FT)
合同招待セッション

Future Technologies from TOKUSHIMAを構成する各シンポジウムが推薦する講師による,FT合同招待セッションです。

11月14日(月) 10:40-11:55

集積化MEMS技術によるマルチモーダル分子認識センサ
Multimodal molecular recognition sensors based on integrated MEMS technology
Prof. Kazuhiro Takahashi

高橋 一浩
豊橋技術科学大学
エレクトロニクス先端融合研究所 教授


講演概要
本発表では,自立ナノ薄膜上に吸着させた分子によって印加される応力と分子質量を同時に計測するマルチモーダル分子認識センサを紹介する。吸着分子間の相互作用により印加される応力と分子質量は,それぞれ光干渉型表面応力測定と固有振動数測定により解析を行う。タンパク質マーカーの液中リアルタイム計測や,空気中のウイルス検出,におい分子等のマルチパーパス分子測定を実施した結果を紹介する。


MEMS気流センサによる生体情報センシング
Vital signs measurement using MEMS airflow sensors
Dr. Yoshihiro Hasegawa

長谷川 義大
広島市立大学
情報科学研究科 医用情報科学専攻

講演概要
本発表では,MEMS気流センサを用いた生体情報センシングに関する研究について報告する。体内で肺と心臓は物理的に接触しており,心臓の拍動によって肺容積が変化し,その結果,呼気には心拍情報が重畳される。また,体内で加温された空気は呼気として体外に排出される。即ち,口元気流には肺運動に伴う呼吸以外に心拍,体温の生体情報が含まれる。本現象に着目し,MEMS気流センサを用いた口元気流からの生体情報計測に挑戦する。


しなやかな機能につながる応用力学
Prof. Itsuo HANASAKI

花崎 逸雄
東京農工大学
工学研究院 先端機械システム部門

講演概要
ナノ・マイクロ系で機能を追究する際,実は統計力学と力学系の視点が役立つ場面は多い。本講演では特に,顕微鏡動画データ解析を通じてソフトマターの相変化を追究する視点で,セルロースナノファイバーからフレキシブルデバイス基板に有用なナノペーパーを作製する技術を扱うと共に,ナノペーパーを力学的メタマテリアルの手法で機能拡張する研究事例などを御紹介する。


ヒト胎盤模倣システムの開発
Prof. Hirokazu Kaji

梶 弘和
東京医科歯科大学

講演概要
現在,特に創薬分野において非臨床試験のヒトへの外挿性を向上させることを目的に,生体模倣システム(MPS)の開発が盛んに検討されている[1-4]。各種臓器の中でも胎盤は,動物種により構造や機能が大きく異なるため,ヒト胎盤機能を有するMPSの開発は,生物医学的価値が高く,医薬品のみならずサプリメントや化粧品評価系への多大な波及効果が期待できる。最近我々は,近年樹立されたヒト胎盤由来の栄養膜幹細胞(TS細胞)を用いて,胎盤の絨毛構造を有するオルガノイドの培養条件を見出した[5,6]。さらに,胎盤バリア能を定量評価するためにより汎用性の高い平面状オルガノイドの作製にも成功している。本講演では,我々が開発しているヒト胎盤バリアモデルについて紹介する。他にも妊娠高血圧症候群の発症機序解明のための血管浸潤モデルについても紹介する。