「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム,761名の参加者を迎え,新潟で盛況裡に開催 次回は2016年10月24日(月)~26日(水),長崎県平戸で開催へ
第32回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム(以下センサシンポジウム)は,10月27日(火)~30日(金)(27日はMEMS開発基礎講座,新潟大学ときめきキャンパスにて開催),新潟市の朱鷺メッセで開催され,全体招待講演4件・新潟開催企画招待講演2件を含め,239件の講演やポスターでの論文が発表されました。
センサシンポジウム内の電子情報通信学会,日本材料学会,エレクトロニクス実装学会による企画セッション,同時開催の第7回マイクロ・ナノ工学シンポジウムと第7回集積化MEMSシンポジウムと併せて,講演数は424件,参加者数は761名となりました。
実行委員長
早稲田大学 庄子習一氏
「Future Technologies from NIIGATA」と題したこのシンポジウムは,マイクロナノシステム(MEMS)やセンサに関連する国内の研究者・技術者が一堂に介し,学協会の枠を超えた当該領域では国内最大のシンポジウムとなり,学協会を越えた情報の交換に加えて,今回は特に企業・産業界の参加者との交流「縁結び」を期待して様々な企画がプログラムに盛り込まれました。
今回の全体招待講演として電気学会担当の「IoT時代の実現に向けて今なすべきこと」,日本機械学会担当の「マイクロナノ工学を用いた次世代DNAシークエンサー」,応用物理学会担当の「異分野融合研究と価値創造工学へ」および3学会合同招聘の「MEMSの昨日,今日,明日」という学生・研究者・技術者に共通した興味深い話題を揃えました。
招待講演
IoT時代の実現に向けて今なすべきこと
技術研究組合NMEMS技術研究機構
理事長
今仲 行一氏
招待講演
異分野融合研究と価値創造工学へ
豊橋技術科学大学
副学長 教授
石田 誠氏
招待講演
マイクロナノ工学を用いた次世代DNAシークエンサー
大阪大学
産業科学研究所 教授
谷口 正輝氏
招待講演
MEMSの昨日,今日,明日
東京大学 生産技術研究所
マイクロナノメカトロニクス 国際研究センター 教授
藤田 博之氏
さらに,電気学会・センサシンポジウムでは若手の実行委員がアイディアを出し合って様々な企画を行いました。特にE部門は今年で設立20年を迎えたため,記念セッションとして歴代の部門長経験者に公開座談会への出席をお願いし,研究の裏話,学会での経験,部門20年の歴史と今後の展望などについて紹介頂きました。
電気学会E部門20周年企画公開座談会
右から,座長 東芝 古賀 章浩氏,早稲田大学 庄子 習一氏,京都大学 田畑 修氏
パネリスト 大阪大学 奥山 雅則氏,立命館大学 杉山 進氏,東京大学 藤田 博之氏,豊橋技術科学大学 石田 誠氏
初めての試みとして,国内の大学・公的研究機関で当該分野の研究を行っている58の研究室に内容紹介をして頂く「い~まっぷ@センサシンポ新潟」および若手参加者(概ね40歳以下)が参加して情報交換する「若手懇親会」を企画し,本シンポジウムへ学生はじめ若手の技術者を誘致する大きな機動力となりました。
い~まっぷ@センサシンポ新潟会場では,にいがた観光親善大使の叶多栞(かのうだ しおり)さん(新潟大学生)に新潟の魅力をお話し頂き,引き続き58のポスターすべてを訪問して頂きました
恒例のご当地企画は,「新潟の伝統工芸が今に伝えるこころと技」と題するセッションで,2016年に設立200周年を迎える,玉川堂(ぎょくせんどう) 代表取締役社長(玉川堂7代目) 玉川 基行氏による「伝統とは革新の連続~変わらないために変わり続ける~」,菊水酒造 研究開発部 統括マネージャー 宮尾 俊輔による「味覚センサーを利用した清酒の開発」について,異分野業界からの視点で科学技術開発についてのご知見を披露して頂きました。
新潟開催企画招待講演
伝統とは革新の連続 〜変わらないために変わり続ける〜
玉川堂
代表取締役社長(玉川堂7代目)
玉川 基行氏
新潟開催企画招待講演
味覚センサーを利用した清酒の開発
菊水酒造
研究開発部 統括マネージャー
宮尾 俊輔氏
前回初の試みとして開催された,MEMS開発基礎講座(センサシンポジウム参加者はすべて無料で参加)には,最先端の大学,研究所,企業の研究者11名の講師による講演が,10月27日,新潟大学サテライトオフィスの会議室で開催され,延べ83名が参加しました。
センサシンポジウムでは,最近海外の国際会議でのみ報告した研究について発表することも奨励しており,日本語でより深いディスカッションができる機会を提供しております。2016年6月にはAPCOTが金沢で,2017年6月にはTransducersが台湾・高雄でと当該分野に関係が深い国際会議が開催される予定となっており,センサシンポジウムでの活発な議論および情報収集がこれらの国際会議への論文投稿に結び付くことが期待されております。
第32回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム
【発表件数】カッコ内は前年
・全体招待講演・新潟企画招待講演 6件(5)
・オーラル発表 86件(86)
・ポスター発表 147件(114)
・マイクロ・ナノ工学シンポジウム,集積化MEMSシンポジウムとの合計 424件(384)
【参加者数】 761名(648)
センサシンポジウム,マイクロ・ナノ工学シンポジウム,集積化MEMSシンポジウム,合計で222件のポスターが発表されました
表彰論文
★五十嵐賞(若手(35歳未満)の最も優秀な発表に授与される賞)
- 平井 義和(京都大学)
3次元微細加工を応用したBody on a Chipの開発
五十嵐賞受賞
電気学会 センサ・マイクロマシン部門(E部門)長の田畑修氏から表彰状を授与される平井氏
★奨励賞(若手(35歳未満)の優秀な発表に授与される賞)
- 佐野 良(兵庫県立大学)
RFマグネトロンスパッタ法によるPb(Zr,Ti)O3薄膜の多層積層とその評価 - 山田 泰斗(東北大学)
単一細胞熱計測のためのpnダイオード型マイクロ熱センサ - 池上 晃平(神戸大学)
金ナノ粒子直線状配列を用いた表面増強ラマン分光の特性評価 - 轡田 浩規(新潟大学)
ガウシアン形状ATカット水晶振動子の作製および評価 - 渡邉 恭拓(筑波大学)
混成電位スイッチングを利用した自律的マイクロフルイディックデバイス - 田邊 皓司(筑波大学)
ストレス評価のための好中球殺菌活性測定デバイス - 仲田 進哉(神戸大学)
VLS成長シリコンナノワイヤの歪み誘起電気伝導特性の結晶方位依存性
★最優秀技術論文賞(若手以外の最も優秀な発表論文に授与される賞)
- 日暮 栄治*{1},加藤 直之{1},川合 紘夢{1},須賀 唯知{1},岡田 咲枝{2},萩原 泰三{3}
({1}東京大学,{2}千住金属工業,{3}神港精機)
水素ラジカル処理したはんだ表面の再酸化抑制効果と低温固相接合への展開
最優秀技術論文賞受賞
電気学会 センサ・マイクロマシン部門(E部門)長の田畑修氏から表彰状を授与される日暮氏
★優秀技術論文賞(若手以外の優秀な発表論文に授与される賞)
- 佐藤 史朗*,福士 秀幸,江刺 正喜,田中 秀治
(東北大学)
酸化防止層にSnを用いた低温Al-Al熱圧着ウェハレベル真空封止接合の研究 - 大森 龍之介,森迫 勇,蔭山 逸行,夏目 季代久,安田 隆*
(九州工業大学)
微小孔アレイを通じた細胞組織の薬剤刺激と微小電極アレイによる多点電位計測
★優秀ポスター賞(優秀なポスター発表に授与される賞)
- 前田 紘伸*,小林 大造,小西 聡
(立命館大学)
マイクロ流体操作のためのスパッタ酸化チタンを用いた光応答型濡れ性制御 - 西山 宏昭*,阿部 祐真,市村 琢朗,大関 透典,齋藤 泰登
(山形大学)
3Dマイクロスプリングを用いた静電駆動可変プラズモニック素子 - 加呂 光*,下田 健一郎,前田 好章,笹田 一郎
(九州大学)
36チャンネルフラックスゲートセンサを用いた心磁界計測 - 明石 照久*,船橋 博文,大村 義輝,藤吉 基弘,畑 良幸,野々村 裕
(豊田中央研究所)
3軸独立のバネ構造を持つデカップル2軸角速度センサ - 小野寺 武*,田 勝煕,矢田部 塁,都甲 潔
(九州大学)
表面プラズモン共鳴免疫センサを用いたトウガラシ果実中のカプサイシノイド検出 - 饗庭 清仁*,池上 晃平,菅野 公二,磯野 吉正
(神戸大学)
金ナノ粒子二量体配列を用いたDNA塩基の表面増強ラマン分光 - 尾田 文恵*,新宅 博文,小寺 秀俊,横川 隆司
(京都大学)
マルチモータ解析のためのマイクロチャネルを用いた異種モータタンパク質の選択的固定 - 三屋 裕幸*{1},小野 新平{2},三輪 一元{2},年吉 洋{3},藤田 博之{3}
({1}鷺宮製作所,{2}電力中央研究所,{3}東京大学)
ゲル化イオン液体によるエナジーハーベスタ応用
【最優秀展示賞】
A-3 愛知県 「知の拠点」研究開発プロジェクト成果
(2011~15年度)公益財団法人 科学技術交流財団
19社の出展協力による技術展示
最優秀展示賞には,愛知県「知の拠点」研究開発プロジェクト成果(2011~15年度)科学技術交流財団が選ばれました。
新潟からは,にいがたナノ基盤技術実装会ならびに会員企業各社が参加され,技術交流の機会をもって頂きました。
Future Technologies from NIIGATA合同懇親会
地上約125mに位置しており,日本海側随一の高さを誇っている,ばかうけ展望室で,懇親会が開催され,260名の方が参加されました。新潟市街地はもちろん,日本海,佐渡島,五頭連峰などの景色を一望できる360度の大パノラマ。伝統芸能や利き酒会が催されました。
第32回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウムの企画・運営を遂行された,実行委員・論文委員のメンバーです。
第32回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム 実行委員・論文委員
(10月30日合同委員会後撮影)
写真撮影協力:兵庫県立大学 三輪谷直輝氏,新潟大学 和田涼介氏
次回は,2016年10月24日(月)~26日(水),平戸市文化センター・平戸未来創造館(長崎県平戸市)にて開催されます。
Future Technologies from Hirado 2016
第33回 「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム
≪日時≫
2016年10月24日(月)~10月26日(水)
≪会場≫
平戸市文化センター・平戸未来創造館
問合せ先
第32回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム事務局
株式会社セミコンダクタポータル